本ワークショップでは、私が30年近く研鑽してきた弁証法・認識論を、カウンセリングに活かすという目的に沿って解説したいと思います。
弁証法は、古代ギリシャ時代に哲学的問答として誕生し、その後、カント・ヘーゲルを経て、一般的な運動を扱う学問として発展してきています。認知療法の基本原則である「ソクラテスの質問法」は、古代ギリシャの弁証法の応用です。また、ヘーゲル以降の弁証法も、クライエントの認識に変化をもたらす際に、非常に参考になる論理を提供しています。
認識論では、認識の起源を経験に求める経験論哲学が、認知療法でも「共同的経験主義」として活かされています。他にも、認識論の分野で発見されたいくつかの論理は、クライエントの認識に変化をもたらす際に武器として役立ちます。
本ワークショップでは、このような弁証法・認識論の基礎を分かりやすく、カウンセリングの実例とともに解説できればと思っております。
<講師>若井貴史
哲学心理研究所 所長(哲学者/公認心理師/臨床心理士)
<略歴>
京都大学文学部哲学基礎文化学系卒業
鳴門教育大学大学院臨床心理士養成コース修了
約15年間、精神科病院に常勤心理職として勤務し、スクールカウンセリングや企業での心理臨床、少年院へのマインドフルネス導入、大学非常勤講師などにも従事。2020年に哲学心理研究所を開業。
<所属学会>
日本心理臨床学会
日本認知療法・認知行動療法学会(心理職部会コアメンバー)
日本産業ストレス学会(評議員)
<主な著書>
『自由学藝』第1号~第3号(共著)大垣書店 2019,2020,2022
『深掘り! 関係行政論 産業・労働分野』(共著)北大路書房 2023
『公認心理師ハンドブック 心理支援 編』(共著)北大路書房 2024