人は大切なものを失った時、どのような感情と行動に至るのだろうか。
愛する人や物、自身が有する身体や環境の一部を喪失した結果、悲嘆と呼ばれる悲しみや絶望の感情が生じる。さらにその感情は認知的、行動的、生理的な反応として様々な形で出現する。
本講演ではフロイトから出発した「喪失と悲嘆の心理学」の歴史を概観し、疾患としての病的悲嘆と反応のメカニズムを解説する。特に喪失に伴う代表的な自他の悲嘆過程を理解し、心理士に求められるグリーフカウンセリングの専門的な援助について考える契機になればと思う。カウンセラーとして、クライエント自身が喪失と悲嘆を乗り越え、新たな生活に適応する力(レジリエンス)を育むことができるように心の健康を支援できればと思う。
<講師>佐藤哲康
川村学園女子大学教授(公認心理師、臨床心理士、REBTスーパーバイザー)
<略歴>
私立大学の学生相談室カウンセラーとして10年間の心理支援に従事。学生の長期欠席や中途退学の予防と対策に携わり、大学・家庭・医療の連携に力を入れてきた。また、キャリアやライフプランニング、就職支援などの業務も経験した。2014年から川村学園女子大学心理学科助教と准教授を経て、2023年4月から現職。
<所属学会>
日本人生哲学感情心理学会(理事長)、日本心理学会、日本心理臨床学会、日本教育心理学会、日本カウンセリング学会、日本学生相談学会、日本産業カウンセリング学会、日本認知・行動療法学会、日本集団精神療法学会、日本心理劇学会、日本質的心理学会
<主な著書>
現代のエスプリ518 REBTカウンセリング(分担)ぎょうせい 2010
人生哲学感情心理療法入門(分担)静岡学術出版 2013
不登校の予防と対応(分担)図書文化 2020